【学会準備マニュアル】2年前~当日までのスケジュールを詳しく解説
多くの関係者の協力の下で開催される学会。学会の規模は団体によって異なりますが、時には数千人を超える参加者を抱える学会もあり、セミナーやイベントとは異なり、その準備には大変長い期間と労力を要します。
一般的に、学会準備は開催日の2年前頃から始まります。協賛企業、団体、特別講演の講師、来賓、一般演題の演者、座長など、多くの関係者と綿密な連絡を保ちながら、膨大な参加者を管理し、プログラムを組み立てていくには、それ相応の期間が必要になるということです。
では、具体的に学会を準備していくには、どのようなスケジュールを組み立てればよいのでしょうか?
この記事では「学会準備マニュアル」と題して、2年前から学会当日までの準備スケジュールを解説します。
目次
1.委員会の立ち上げ・会場の決定(2年~1年半前)
学会準備で最初にやることは、実行委員会の立ち上げです。
学会運営の決定権を持つコアメンバーと、周囲を固めるチームを編成し、第1回準備委員会を開催します。まずはチームの役割分担を行い、これから始まる長い準備期間への備えをしましょう。
開催会場の決定もこの期間に行います。
開催会場はホテルや公共施設など様々です。今までの学会資料を基に、会場費を概算で算出し、学会に適した会場を選定しましょう。公共施設は安く借りられますが、受付開始が半年前からなど、開催日の近くにならなければ借りられない場合も多くなっています。
【その他の業務】
その他、必要な業務は下記の通りです。
・収支予算案の作成
・前年度学会の資料収集
・学会開催までのタイムテーブル作成
・学会専用口座の開設
【前年度学会の資料収集】
前年度学会の資料は大変参考になります。学会のテーマが変わっても、運営方法はあまり変わらないものです。
前年度学会の担当者から直接引継ぎを行っておくと、学会準備の進め方がわかります。
2.公式ウェブサイト開設・告知の開始(1年前)
学会の公式ウェブサイトを開設し、案内を開始します。
現代ではウェブサイトで各種案内を行うだけでなく、オンライン登録も行います。ウェブサイトの出来が参加者数や演題応募数をも左右するため、魅力的なウェブサイトは学会にとって重要な要素です。
公式ウェブサイトに記載する内容は下記の通りです。
・会長挨拶
・テーマ、日程、会場、参加費といった各種案内
・一般演題応募方法・応募期間
・学会事務局の情報(住所、電話番号、FAX番号、メールアドレスなど)
【その他の業務】
その他、この時期に行うべき業務には下記のようなものが挙げられます。
・会員や機関への告知の開始
・印刷物の作成開始(学会ロゴ・学会ポスター・学会レターヘッド・学会用封筒)
・協賛企業への依頼
・参加者のエントリーシステム構築
・一般演題の募集要項決定
・特別講演や召請講演、シンポジストの演者決定
【協賛企業への依頼】
協賛金は学会運営の大切な資金源です。依頼状に不備がないよう、厳重な注意を持って作成するとともに、協賛金の獲得状況をリアルタイムで確認できるシステムを構築する必要があります。
3.一般エントリー開始(6か月前)
いよいよ、本格的にウェブサイトで参加エントリーと演題募集を開始します。通常、一般演題の募集期間は2か月間ほど設けられるのが一般的です。
【その他の業務】
その他、この時期にすべき業務は下記のようなものが挙げられます。
・学会場の下見
・会場レイアウト作成
・広告・協賛金・展示の獲得状況をリアルタイムでチェック
・特別講演・招請講演・シンポジウムの講演抄録依頼
【学会場の下見】
会場を下見して、会場設備を確認しましょう。
学会本部、受付、ブースのスペース、講師控室、会場の各部屋の確認。また、学会場から懇親会場への動線はスムーズか、マイクやプロジェクター、パネルやテーブルなど備品設備はどれだけあるのか、なども確認します。
当日の学会に混乱が起きないよう、綿密に下調べして、会場レイアウトを作成しましょう。
4.プログラム作成・発送(3か月前)
一般演題のオンライン登録を締め切り、演題の採否決定に移ります。登録演題が少なかった場合、締め切りの延期をウェブサイトで早急に告知しなければなりません。
そして、演題に基づき、プログラム作成が始まります。ここが学会準備の正念場の1つといっても良いでしょう。
座長1人につき、演題を3~5題ずつ割り振って1セッションを構成。外国人を招く際は、翻訳機など通訳機材等の手配も必要です。
作成したプログラムの発送は、参加者が旅程や宿泊のスケジュールを建てる必要があるため、2か月前までに参加者の手元に届くのが理想です。
【その他の業務】
その他、行うべき業務は下記のようなものがあります。
・抄録集印刷・発送
・機材準備
・学会参加証の作成
【抄録集印刷・発送】
抄録集は参加者、演者、座長、来賓、協賛企業に発送します。発送する際には参加証や各種案内を同封すると良いでしょう。
演者に対しては、プロジェクターを使用する場合、動画を使用する場合など、発表方式についての詳しい案内を同封します。
5.運営マニュアル作成(1か月前)
聴講の一般登録も締め切り、いよいよ当日運営の準備が本格的に始まります。
学会当日は様々な人の協力の中で動いていきます。すべてのスタッフの動きを掌握するのは難しいため、「だれが、いつ、何を行えばよいのか」がわかる運営マニュアルの作成が必須となります。
司会アナウンスもすべて台本にしておきましょう。
【その他の業務】
その他、この時期に行うべき業務は下記のとおりです。
・一般登録締め切り
・スタッフ配置表作成
・サイン配置表作成
・感謝状印刷
・看板・サイン印刷
・懇親会の次第作成
・備品購入
【備品用意】
学会に必要な備品はたくさんあります。
看板、案内スタンド、パネル、司会者台、講演者台といった大掛かりな備品に始まり、名札ストラップ、名刺受け、各種文房具など、受付で必要な細々とした消耗品まで、すべてリストにしてチェックします。
6.学会運営(当日)
学会前日には会場設営、機材配置、看板・サイン設営、配布物セットなどの準備を行い、当日を迎えます。当日は運営マニュアルに則り、下記の学会運営を行っていきます。
・参加受付
・会場内誘導
・司会・通訳
・時間管理
・懇親会の進行
7.収支決算書の作成(終了後)
終了後、もっとも大変な作業は収支決算書の作成です。寄付金をもらった場合、その団体へも収支決算書を提出しなくてはなりません。
学会全体の収支決算書を作るのは骨が折れる作業ですが、なるべく早めに済ませましょう。
【その他の業務】
その他の作業としては、下記のようなものがあります。
・礼状発送
・各種清算処理
・反省・慰労会
・学会マニュアルを更新
・次期大会への引継ぎ
【礼状発送】
礼状は参加者全員に送りたいところです。学会の前に原稿を作っておき、参加者数に合わせて印刷を発注。学会終了後、2週間以内に届くように手配しましょう。
8.まとめ
学会運営でポイントとなるのは、準備スケジュールの作成と、綿密な連絡体制の構築です。多数の業務に追われてあたふたするのではなく、1つ1つの準備を能動的にこなしていく必要があります。
2年間という長い期間を無駄にせず、準備委員会で役割を分担して効率的に準備を進めましょう。
イベントやセミナーなどの事務局運営は定型業務とは異なり、独自のノウハウが求められます。独自の経験に基づいた事務局運営は非効率的な場合が多く、余分な労力がかかってしまいます。
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