イベントを活用することで、アプリマーケティングはもっと効果的になる!
デジタルマーケティングの手法のひとつとして注目されているスマホアプリ。ニュースやレシピなどの情報が得られたり、写真の加工や管理ができたりと便利なものも多いですが、なかには誰も思いつかなかったような、意外な方法でマーケティング効果をもたらしているものも。
今回はそんな、マーケティングツールとして機能するスマホアプリのなかから、イベントと併用することでさらなる効果をもたらした事例を見ていきましょう。
目次
1.椅子取りゲームならぬ、駐車スペース取りゲーム
ご紹介するのは、ノルウェーのフォルクスワーゲン社がローンチした「PARK IT!」というアプリ。Android、iOS、Windowsの3バージョンがあり、複数のデバイスで楽しむことができるゲームです。
子どものころに誰もが親しんだ遊びに「椅子取りゲーム」がありますが、これはその「椅子」を「駐車スペース」に置き換えたもの。ゲーム内では街中を車に乗って自由に移動できますが、音楽が止まると空いている駐車スペースに車を停めないといけません。
街中を運転している際にミスがあったり、ミッションを達成できなかったりするとポイントがマイナスとなるため、単純に駐車スペースを確保するだけでなく、車の操作技術も問われることになります。
また、このゲームはオンラインゲームとして遊べるようになっており、コンピューターではなく、画面の向こうにいる人を相手にするのもおもしろいポイントといえるでしょう。
2.オスロの街中で行われた決勝戦が大きな話題に
このアプリは67,000人ものユーザーにダウンロードされ、人気ランキングでも1位を獲得して話題になりましたが、もちろんゲームのおもしろさだけが人気の秘訣ではありません。
実はアプリのゲームは単なる予選。フォルクスワーゲン社はオンラインゲームの勝者を集め、ノルウェーの首都・オスロの街中で、実車を使った駐車スペース取りゲームの決勝戦を開催してしまったのです。
このイベントはテレビでも放映され、イベントの勝者には同社のピックアップトラックAmarokがプレゼントされるなど、大きな話題を作ることに成功しました。
3.ターゲットの“あるある”をふんだんに織り込んだゲーム
今回ご紹介した事例で注目すべき点は、ターゲットへのコンタクトの取り方です。実はフォルクスワーゲン社がこのキャンペーンで狙ったのは、運送業をはじめとする商用で車を運転するドライバーにリーチすることでした。
荷物の上げ下ろしなどで毎日頻繁に車を停める職業ドライバーにとって、駐車スペースの確保は業務効率に関わる死活問題です。また、前後を車に挟まれた狭いスペースに縦列駐車をするなど、高い運転技術が問われる場面も少なくありません。
「PARK IT!」はまさに、こうした職業ドライバーの日常をゲーム化したもの。ステージの途中で用意されるミッションは、狭い道を進むなど運転技術を試されるものが多く、ドライバーにとっては日常の“あるある”がふんだんに織り込まれたものだったのです。
そんなゲームだからこそ、ターゲットである職業ドライバーに愛され、話題となったことは想像に難くありません。ただおもしろいゲームアプリというだけでなく、ターゲットの心をつかむ仕掛けがしっかりと施されているところが秀逸なキャンペーンだといえるでしょう。
4.モバイルだけで終わらせるのはもったいない!
アプリを活用したマーケティングはすでに定番になりつつありますが、今回の事例を見てみると、スマートフォンなどのモバイル上だけで完結させるのはもったいないと感じた人も多いのではないでしょうか。デジタルマーケティングは画面の向こうにいる顧客の顔が見えにくいからこそ、人と人とが直接出会うことのできるイベントと併用することで大きな効果を発揮する場合があります。
「最近マーケティングの効果が上がらない……」とお悩みの方にとって、今回ご紹介した事例が参考になれば幸いです。