初めてに役立つ!学会の座長のための進行マニュアル
「学会の座長に任命されたけれど、どのような点に注意して進行すればよいのかわからない」
「座長の進行マニュアルが欲しい」
このような疑問にお答えします。
座長は学会各セッションの進行係を担当する大事な役目です。セッションを安定して進行するためには、下記の2つが重要になってきます。
・ポイントを押さえて事前準備をする
・進行マニュアルを作成する
この記事では、座長をそつなく務めるための事前準備と進行マニュアルについて解説します。
目次
1.事前準備の重要ポイント
学会の座長に任命されたら、次の6つのポイントに絞って準備すると良いでしょう。
1-1.担当セッションの内容を把握する
座長は、自分の担当セッションの内容をしっかりと把握していなければなりません。下記のポイントをしっかりと頭に叩き込んでおきましょう。
・セッションの開始時間
・セッションの終了時間
・セッションの場所
・演題の発表者
・演題のタイトル
・演題の内容(事前に原稿が送られてきている場合)
【時間厳守で動く】
座長はセッションのタイムキーパーとしての役割を持っています。施設によっては、セッションが行われている部屋と部屋が遠いことも。余裕をもって開始時間に間に合うためにも、セッションが行われる部屋への移動時間も計算して早めに動きましょう。
「○分前までに部屋に入っていれば良いですか?」と事前に学会運営側に確認しておくと、安心して動けます。
【演題の発表者・タイトルを言い間違えないように】
演題の発表者やタイトルを言い間違えないように予習しておきましょう。発表者リストを渡されるので、暗記する必要はありませんが、読み方がわからない漢字は事前に下調べして、きちんとふりがなを振っておく必要があります。
1-2.質疑応答のための質問を考えておく
演題発表が終わった後には、質疑応答の時間が設けられます。聴衆から質問を募っても出てこない時は、座長の腕の見せ所。座長が代わりに質問をして、場を持たせる流れになります。
事前に原稿を受け取っている場合は、学会が始まるまでの期間で予習ができますが、そうでない場合は発表中に質問を考えなければなりません。思いついた質問はメモにストックしておきましょう。
1-3.スタッフとしっかり連携を取る
座長として会場入りしたら、スタッフとしっかりコミュニケーションを取り、良好な関係を築いておきましょう。
座長がかかわるスタッフには、副座長やマイク係、タイムキーパー、照明係などが挙げられます。スタッフと良い関係を築いていれば、困ったことがあった時に手助けを頼みやすいですし、スタッフからも気づいた点を気軽に言ってくれるようになります。
1-4.万全の準備をする
担当セッションの内容の把握や質疑応答のための質問を考えておくことなどの事前準備が整った後、準備に不備がないか再確認し、万全な準備をしましょう。
準備の再確認は少し期間をおいてから行うと、気付かなかったことに気付きやすく、より万全の体制で学会に臨めます。万全の準備をすることで、精神的なゆとりを持てるようになります。
リラックスして、一つ前のセッションを聴講することで、会場の雰囲気に慣れ、心に余裕がある状態でセッションできるでしょう。
1-5.時間管理(進行)を考えておく
時間管理(進行)を考えておき、計画通りにセッションを終えましょう。計画通りの管理を行うため、時計を持参し、机の上に置いておくとよいでしょう。
また、開始時間や演者一人の時間をメモしておき、セッション開始時に講演時間と質疑応答の時間を伝えることで、適切な進行が可能になります。
1-6.トラブルやハプニングを想定し対処法を考えておく
万が一のトラブルやハプニングが発生することを想定し、あらかじめ対処法を考えておくことも重要です。
トラブルやハプニングは起こらない可能性のほうが高いですが、いざという時に効果的な対処法を用意しておくことで、学会をスマートに進められます。
2.当日進行マニュアル
次に、座長が使える学会当日の進行マニュアルを紹介します。具体的に座長がやることと、注意点をまとめたので、一連の流れを確認してください。
2-1.発表者の点呼確認
セッションが始まる前に、発表者が到着しているかどうかを確認しましょう。この時に「発表者の方は、前の方の席へお願いします」などお願いすることで、発表者を紹介する際の流れがスムーズになります。
2-2.開始時間の案内
「あと10分で開始となります」など、開始時間を案内します。ただし、座長の他に司会アナウンス係がおり、代わりに会場案内をしてくれることもあります。
2-3.開始の挨拶・自己紹介
セッションの開始を告げると共に、座長として自己紹介します。開始の挨拶は、定刻を過ぎるよりは、少し早い方が良いでしょう。そのためにも、事前に発表者を点呼しておくことが必要です。
自己紹介では、自分の名前と所属を述べます。座長はあくまで進行役のため、短くまとめて次のプログラムへと進みましょう。
2-4.発表者の紹介
発表者と演題のタイトルは言い間違えないように気をつけましょう。名前の読み方がわからない場合は、事前に調べておきます。発表者を紹介したら、座長が率先して拍手を送り、発表者を壇上に迎えましょう。
2-5.発表のタイムキープ
1セッションで複数の演題が発表されるため、1つの演題が長引くと、あとに続く演題の発表時間が短くなってしまいます。発表時間を過ぎている場合は、「手短にお願いします」など声をかけてタイムキープしましょう。
2-6.質疑応答
発表が終わったら、質疑応答の時間です。聴衆の参加によって話題が思いもつかない方向へと流れていくこともあるため、座長が会場の雰囲気をうまくコントロールしましょう。
時に質疑応答が熱を帯びて、紛糾してしまうことも考えられます。収拾がつかずに長引きそうなときには、座長が割って入り、その場を収めましょう。
「1つの質問と応答は3分まで」「質問は3問まで」などと自分の中で基準を決めておき、あとは時間の余り方と相談しながら、柔軟に対応していくのがおすすめです。
2-7.質疑応答の終了・次の発表者の案内
質疑応答の終了時間が来たら、「○○先生、ありがとうございました」と挨拶し、率先して発表者に拍手を送りましょう。続けて、次の発表者と演題をコールします。
2-8.セッション終了の案内
セッション終了時には、次のセッションの案内をします。最後に発表者と聴衆に感謝を述べて、拍手で締めましょう。
3.まとめ
しっかりと事前に準備しておくことで、初めての座長であっても、落ち着いて学会に臨むことができます。基本的には座長の台本を作っておいて、それに従って進行していけばOK。ただし、質疑応答は臨機応変な対応が求められますので、注意が必要です。
学会の座長の発言例などを載せた司会台本については以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。