行動意欲のツボを突く!意外な場所で行われた骨髄移植ドナー募集イベント
ターゲットのリーチを効果的に獲得する方法についてお悩みの方はいませんか? 今回ご紹介するのは、「骨髄移植ドナー募集」というハードルが高い課題ながら、ターゲットの行動意欲を促進させるイベントを開催したことで見事にリーチの獲得に成功した事例です。
目次
1.目的は骨髄移植のドナー募集……その高いハードルをどうやってクリアする?
アメリカで行われたアニメや漫画の祭典「Comic Con 2015」のとあるブースで行われたイベント。アメリカ国内で骨髄移植を希望する患者とドナーを結びつける活動を行う団体「Be The Match」によって企画されました。
非常に高い医療水準を誇るアメリカですが、ドナーの登録者数は十分ではありません。50,000人もの患者が常に待機しており、移植できる日を待っているといわれています。
こうした課題を解決するには、ドナー登録者の数を増やしマッチングの確率を上げていくほかありませんが、問題となるのはやはりドナー登録のハードルの高さといえるでしょう。骨髄移植は献血と比べて精神的な障壁が高く、よほどの理解を得られないと提供者として登録してもらうのは簡単ではありません。
2.Do you have the hero gene?(あなたはヒーロー遺伝子を持っているか?)
「Be The Match」は、アニメファンが集うイベント「Comic Con 2015」に、「THE HERO GENE LABORATORY」というブースを出展しました。日本語に訳すと「ヒーロー遺伝子実験室」といったところでしょうか。そして、「Do you have the hero gene?(あなたはヒーロー遺伝子を持っているか?)」のコンセプトのもと、簡単なテストを行ったのです。
このテストの内容は、ドナー登録のための遺伝子を調べるもの。街頭で道行く人に声をかけても「遺伝子を調べるテスト」に協力してくれる人を集めるのは困難ですが、このブースに来場するのは「Comic Con 2015」の参加者。みんなアニメや漫画のキャラクターになりきり、コスプレの衣装に身を包んだ人たちが多く集まる場所です。
「ヒーロー遺伝子をチェックする」というキャッチコピーは、「Comic Con 2015」の参加者へ見事にヒット。イベントのお祭り的な雰囲気の助けもあって多くの協力者を集めることに成功したそうです。
3.他人を助けたい!という気持ちが行動に
「THE HERO GENE LABORATORY」の事例が秀逸なのは、骨髄移植の「ドナー」のことを単純に「ヒーロー」という名称に置き換えた演出だけではありません。
ブースを企画した「Be The Match」の調査によると、漫画やアニメのファンは他者を助けたり役に立ったりしたいという願望が強いという傾向があるのだそうです。
そのはっきりとした理由は明らかではありませんが、一説には、アニメ作品の主人公が善意により人を助け、悪を打ち倒すストーリーを日常的に観て、その姿に憧れていることが関係しているともいわれています。
こうした分析をもとに、「Comic Con 2015」に参加される方々は潜在的に他人を助けたいという意識が高く、ドナーの募集は共感を得られるのではないかと考え、企画されたのが「THE HERO GENE LABORATORY」というブースなのです。
簡単な遺伝子検査ののちに、承諾を得られた人にはそのままドナー登録の手続きが行われました。その数は、たった4日間で500人近くにもなったとか。この数字は、同団体が過去に行ったどんなキャンペーンイベントと比較しても優秀なものだったそうです。
4.ターゲットと対面できるイベントは効果的なリーチ獲得の場
「臓器移植ドナー」と「アニメ」という意外な組み合わせにより、ターゲットの潜在意識を掘り起こすことに成功した今回の事例。過去のデータに基づくターゲットの分析から、行動意欲のツボが何なのかを見つけ出すことが、リーチ獲得という目的達成のための第1歩となります。行動意欲のツボに、非日常感やワクワク感の体験という刺激を与えるイベントは、目的達成のブーストとして活用できるでしょう。