社員への報奨金や表彰金には税金がかかる⁉︎それぞれの事例について解説

公開日:2020.04.21  更新日:2024.02.16
社員への報奨金や表彰金には税金がかかる⁉︎それぞれの事例について解説

社内表彰において、賞状や贈呈品のほかに報奨金表彰金を進呈する企業も少なくありません。しかし、これらの賞金には税金がかかるのか気になる担当者もいるのではないのでしょうか。

税金についての知識を頭に入れておかないと、後々大変なことにもなりかねないので、しっかりと把握しておく必要があります。

そこで本記事では、税金がかかる事例とかからない事例について解説します。

 

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報奨金とは?

報奨金とは端的に言えば、「その人の企業への貢献や仕事に対する努力を奨励するために支給される金銭」のことです。

例えば企業では、以下のようなケースで報奨金を出します。

  • 極めて優秀な営業成績を出した社員に対して支給する
  • 経営に対して貢献したと認められる社員に対して支給する
  • 何らかの形で会社に貢献又は多大な利益をもたらした社員に支給する

このように報奨金は、仕事において格段の頑張りが認められた社員に報いるために支給するものです。

社員としては自分の努力が認められることや、単純に金銭を受け取れることがメリットです。また、企業としては、報奨金を与えた社員はもちろん、周りの社員のモチベーションアップを図れることがメリットと言えます。さらに、報奨金は給与と違って単発的かつ臨機応変に支給できるという特徴もあります。

 

表彰金や報奨金には税金がかかる

会社から受け取った表彰金や報奨金には、貰った金額に関係なく所得税として税金がかかります。

つまり、報奨金として5万円を貰ったとしても、実際には5万円にかかる所得税が差し引かれた金額しか貰えないのです。しかし、「お見舞金」や「お祝い金」のような場合には、「慶弔見舞金」として扱われるので、所得税がかかりません。

あくまでも税金がかかるのは、業務を行った見返りとして受け取る表彰金や報奨金が対象です。覚えておきましょう。

 

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表彰金の課税/非課税ライン

表彰金のなかでも課税されるパターンと非課税のパターンがあるので、非常にややこしいです。

以下の2つのパターンについて紹介します。

・永年勤続者が表彰された場合
・通常の業務の範囲を超える提案等に対する表彰金の場合

 

永年勤続者が表彰された場合

「永年勤続表彰」など、永年勤続者への表彰を行う場合があります。旅行や観劇への招待、記念品など、表彰の仕方もバリエーションがあります。

国税庁においては、永年勤続者への表彰について下記のように定められています。

 

『36-21 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭46直審(所)19改正)(1) 当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。

(2) 当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。』

 

引用:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

 

つまり、下記の4つの条件に当てはまる場合は課税しなくてよいということです。

・10年以上勤続した従業員であること
・勤続期間と照らし合わせて妥当な表彰品の額であること
・前回の表彰から5年以上の間隔が空いていること
・現物に代えて金銭で表彰していないこと

上記に当てはまる非課税の表彰は、福利厚生費で処理することができます。

永年勤続者への表彰が非課税になるのは、あくまで旅行や記念品などが表彰内容である場合に限ります。表彰金の場合は課税対象となり、給与として処理するため、注意してください。

 

通常の業務の範囲を超える提案等に対する表彰金の場合

自分の部署以外の業務への提案など、通常の業務の範囲を超える行為に対して表彰金を支払う場合は「一時所得」となります。

【会社の対応】
一時所得の場合、50万までは課税する必要がないため、源泉徴収する必要がありません。福利厚生費として処理することができます。

【社員の対応】
給与所得ではないため、会社は年末調整において所得税の申告を行いません。そのため、自分で確定申告を行う必要があります。

参考元URL:https://www.zaimupartners.jp/archives/2014no-12

 

「表彰品」の課税/非課税ライン

続けて、金銭以外の表彰品について説明します。例えば、誕生日プレゼントや社員旅行といったケースです。

課税しなくてもよいとする判断基準としては、下記の2つが挙げられます。

・表彰品が与えられる機会が平等であること。
→つまり、特定の人に与えられる表彰品などは課税対象となる。

・社会通念上ふさわしい額であること。
→一般的に見ても違和感のない金額や現物であること。

これらの基準を元に、課税・非課税を判断していくことになります。

前章で解説したように、課税の場合、源泉徴収を行う必要がありますが、非課税の場合は福利厚生費として処理が可能です。また、課税と非課税を判断する原則は存在するものの、適用はケースバイケースであり、判断が難しいのが実情です。

この章ではいくつかのケースを紹介しますが、自社のケースで迷ったら、専門家に相談するのがおすすめです。

永年勤続者へ表彰品もしくは金一封を贈る場合

永年勤続者に対して、記念品のような贈呈品は課税対象にはなりません。また、旅行に行くための招待費用も、勤続年数や地位などと照らして妥当な金額であれば課税対象外です。

しかし、それ以外の金一封のような現金は給与所得や一時所得などとみなされ、課税対象となる可能性が高いので、注意しましょう。

 

社員等に誕生日プレゼントを贈る場合

社員に誕生日プレゼントを贈る場合を見ていきましょう。社員への誕生日プレゼントが社内規定で定められており、一般的な誕生日プレゼントとして認識されているもの(お花やお菓子、誕生日ケーキなど)であれば、課税しなくてもよいとされています。

ただし、プレゼントが金銭であったり、高額であったりする場合は、課税対象となります。

 

社員旅行の場合

社員旅行においては、全額非課税対象になる場合と、一部の費用のみ非課税対象になる場合と、ケースバイケースです。

国税庁は「給与として課税しなくてもよい条件」を、下記のように定めています。

・旅行の期間が4泊5日以内であること。
・旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。
・海外旅行の場合、滞在期間が4泊5日以内であること(つまり、行き帰りの移動は旅行期間に含めなくても良い)

上記の条件に当てはまる場合、経済的利益が小額であることから、社員旅行にかかる費用は給与ではなく、福利厚生費として処理することができます。旅行期間が4泊5日以上と長かったり、旅行費が非常に高かったり、また旅行の理由が私的なものであると判断された場合、福利厚生費として認められない場合があります。

また、上記の条件に当てはまっていても、場合によっては福利厚生費として認められないケースもあるので、注意が必要です。

社員旅行の費用のうち、福利厚生費として処理できる項目には下記のようなものが挙げられます。

・交通費
・宿泊費
・食事費
・旅行保険費
・観光費

逆に、個人負担にすべき項目には下記のようなものが挙げられます。

・お土産費
・二次会にかかる費用
・プライベートの買い物や食事にかかる費用

参考元URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm

 

商品券やクオカードの場合

基本的に換金性の高いものは、現金と同様の扱いとなります。商品券やクオカードなどは換金性が非常に高いので、課税の対象です。カタログギフトも課税の対象となります。

そのため、課税されるのを防ぎたいのであれば、換金性の低い商品を贈呈しましょう。

 

創業記念などの記念品を贈る場合

では、創業記念などの記念品の場合はどうでしょうか。

企業から支給される記念品としては例えば、創業◯◯周年記念、工事完成記念、合併記念などが考えられます。こうした記念品の場合、以下の要件を全て満たす場合において、給与課税はされません。

・社会一般的に見て記念品としてふさわしく、その品の処分見込価額が1万円以下(税抜)である場合
・ 一定期間ごとに行う行事で支給するものであり、おおむね5年以上の間隔で支給されたものである場合

例えば、10年ごとに原価5,000円程度で作られて記念品として配布される◯◯周年記念メダルであれば、給与課税されないということになります。

ただし、記念品として現金や商品券を支給する場合は金額に関わらず給与課税となります。現金はお金なので当然ですが、商品券は前述の通り換金性の高いものであり、課税対象となるので注意しましょう。

 

社内で開催されたイベントの景品

社内で開催されたイベント、例えば忘年会や運動会での景品についてはどうでしょうか。

企業で行うこうしたレクリエーションにおける景品については、社会通念上常識的な範囲の金額であれば課税対象とはならないとされています。金額的な目安は特別ありませんが、あまり高価なものでなければ課題となることはないでしょう。

ただし、イベントの景品として現金又は換金性の高い商品券・旅行券を支給する場合は課税対象となる可能性が高いので注意しましょう。

 

また、注意したいのがゴルフについてです。実は、ゴルフは社会通念上のレクリエーションに含まれないと考えられています。

そのため、ゴルフコンペでの景品は給与課税になるとされています。

意外と見落とされがちですが、ゴルフは忘年会や運動会などのレクリエーションとは別物と捉えるようにしましょう。

 

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部やグループなどの団体で受け取った場合

部やグループなど団体で表彰金を受け取り、それを分配するような場合について見ていきましょう。

ケースとしては、下記の2つのケースが考えられます。

1.グループへの表彰金を代表が一括で受け取り、会社により定められた金額で分配する。
2.グループへの表彰金を代表が一括で受け取り、グループ内で配分を定めて分配する。

順番に見ていきましょう。

 

グループへの表彰金を代表が一括で受け取り、会社により定められた金額で分配する場合

あらかじめ「この社員にはいくら、この社員にはいくら」と会社側で配分する金額を決めている場合は、それぞれの金額を各社員の給与に含めて課税処理します。

当然、グループ内では会社により定められた金額を社員へ分配します。これは比較的わかりやすいケースだといえるでしょう。

 

グループへの表彰金を代表が一括で受け取り、グループ内で配分を定めて分配する場合

同じ金額を受け取ったとしても、グループ内で話し合い、社員への配分を決めるケースも存在します。

この場合、会社側としては「社員に均等に表彰金を分配した」とみなして、一律の金額で課税処理をするのがもっともわかりやすく、無難な処理だといえます。

しかし、この方法だと、表彰金の額は少なくても、同じ額の税金を取られてしまい、不満を抱く人が出てくる可能性がある点にも注意しなければなりません。グループへ表彰金を授与する場合は、授与する側と拝受する側で、事前に課税処理について共通理解を持っておくとよいでしょう。

 

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社内コンテストの賞金を受け取った場合

社員のモチベーションアップや業務効率化、新規事業のアイデア募集などを目的として、社内コンテストを実施している会社もあります。

社内コンテストといっても、その内容は会社によって千差万別です。そのため、一概に判断することはできませんが、この章では次のようなケースについて見ていきます。

・社内報に掲載する写真や、会社の標語などを募集する
・各部門の業務の速さを競う大会を実施する
・事業アイデアを募集する

 

社内報に掲載する写真や、会社の標語などを募集する社内コンテストの場合

全従業員に一律で社内コンテストを実施し、募集内容が趣味的な内容であった場合、その表彰金は「一時所得」となります。つまり、50万円以下であれば課税する必要がありません。社内報に掲載する写真や俳句などのコンテストがこれに該当します。

ただし、標語や社歌など、会社の事業に関係する社内コンテストの場合は、報酬への対価の意味合いが強くなり、「雑所得」となります。賞金の支給額が5万円を超える場合は源泉徴収をしなくてはなりません。

 

各部門の業務の速さを競う大会を実施する場合

グループやチームで行う大会の場合は、前章の「部やグループなどの団体で受け取った場合」を参照してください。

基本的には配分に従って各社員の給与に含められ、課税対象となります。

個人を表彰する場合、現金やクオカード、カタログギフト、商品券等の金券カード類は、額面がそのまま所得となり、課税対象とみなされます。経費として処理したい場合は、小額の物品(盾やトロフィーなど)を授与することで、福利厚生費として処理できます。

 

事業アイデアを募集する場合

事業アイデアの募集や、業務改革のためのアイデア募集などを行う会社もあります。

これらの社内コンテストにおいて表彰物が課税対象となるかどうかは、表彰された社員にとって「アイデアを出すこと」が通常の業務であるかどうかがポイントとなってきます。

「アイデアを出すこと」自体が通常の業務であったり、自分が所属する部署についてのアイデアであったりした場合は、「通常の業務の範囲内」とみなされ、表彰物は給与に含まれます。

表彰されたアイデアが通常の業務の範囲を超える場合は「一時所得」となり、さらに、支払いを継続的に請ける場合は「雑所得」となります。

 

そのほか課税仕入れに該当する項目

社員が業務上有益な発明・考案をして、それに関する特許や実用新案登録などの権利を会社が承継した場合、多くの企業では相応の報奨金を支給するのが一般的です。

ちなみにこのケースの場合、支払った報奨金は課税仕入れに該当します。

 

ほかにも、以下に該当するケースでは課税仕入れとなるため注意しましょう。

  • (1) 業務上有益な発明、考案又は創作をした使用人等から当該発明、考案又は創作にかかる特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を承継したことにより支給するもの
  • (2) 特許権、実用新案権又は意匠権を取得した使用人等にこれらの権利にかかる実施権の対価として支給するもの
  • (3) 事務若しくは作業の合理化、製品の品質改良又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限り、その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合を除く。)をした使用人等に支給するもの

引用:国税庁「社内提案報償金」

まとめ

本記事では、報奨金や表彰金における税金がかかる事例とかからない事例について解説しました。

社内表彰で報奨金や表彰金を贈呈する企業も多いですが、現金は基本的に課税対象となるので、注意が必要です。ただし、例外もあるので、今回の記事を参考に課税ラインと非課税ラインをしっかりと理解しておきましょう。

 

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