人材育成に用いられるおすすめの手法7選!意識すべきポイントも紹介
企業にとって人材は貴重な資産であり、企業が規模を大きくするためには人材の成長が欠かせません。
しかし、どのような手法で人材育成を行えばいいのか、わからないという担当者もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、人材育成に用いられるおすすめの手法や人材育成を成功させるために意識すべきポイントについて解説します。
目次
人材育成に用いられるおすすめの手法7選
人材育成に用いられるおすすめの手法は、以下の7つです。
- OJT
- Off-JT
- 1on1ミーティング
- eラーニング
- ストレッチアサインメント
- メンター制度
- ジョブローテーション
それぞれのメリット・デメリットについて、表を用いてわかりやすく解説します。
OJT
OJTとは「On the Job Training」の略称であり、実際の業務を通じて知識やスキルを習得してもらう人材育成手法です。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 1対1での指導となるので、トレーナーである上司や先輩社員は、新入社員に合わせて柔軟に教育スタイルを変更できる
- 実際の業務を通じて知識やスキルが身につくため、早期の即戦力化にも期待ができる
- 社内で完結できるため、コストの削減につながる
- トレーナーと新入社員との間でコミュニケーションが活発になるため、関係性を構築できる
デメリット
- トレーナーは通常の業務に加えて指導する必要があるので、負担が大きい
- トレーナーによって、能力やスキルが異なるので、成果を均一にするのが難しい
- 体系的な学習に向いていない
Off-JT
Off-JTとは「Off the Job Training」の略称であり、職場以外で実施される研修のことです。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 複数人が受講し、同じ内容を学習できるため、知識やスキルの均一化につながる
- 体系的な学習に期待ができる
- 普段交流できない人とコミュニケーションが図れるため、新たな人脈形成につながる
デメリット
- 参加費が発生するため、コストがかかる
- 研修を受講している間は業務が行えないので、ほかの社員の負担が大きくなる
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、名前の通り上司と部下が1対1で定期的に話し合う人材育成手法です。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 1対1で話し合うことによって、お互いに理解を深められる
- 部下は悩みが相談しやすくなるため、心理的安全性が醸成されることで、離職率の低下につながる
- 上司と部下との間でコミュニケーションが活発となり、信頼関係の強化に期待ができる
- デメリット
- 効果が表れるまで時間がかかる
- 定量的に見えにくいため、効果を実感しづらい
- お互いがスケジュールを調整したり、時間を確保したりする必要がある
eラーニング
eラーニングとは、スマートフォンやPCといったデバイスを活用して、オンラインで学習できる人材育成手法です。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 時間や場所に関係なく、好きなタイミングで学習できる
- 同じ内容を学習するため、教育の質を均一に保てる
- 学習の進捗状況を管理しやすい
デメリット
- 利用するためには、インターネット環境が必須となる
- 基本的に1人で学習するため、モチベーションを保つのが難しい
- 実践的なスキルは身につけにくい
ストレッチアサインメント
ストレッチアサインメントとは、実力以上の業務や課題を与えることによって、社員の成長を促す人材育成手法です。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 課題解決能力やチャレンジ精神などが身につき、社員のスキルアップにつながる
- 実力以上の業務や課題をこなすことで、達成感が味わえるようになり、自信がつく
デメリット
- ハラスメントと勘違いされるリスクがある
- 逆効果となり、モチベーションの低下や体調不良を引き起こす要因になりかねない
メンター制度
メンター制度とは、先輩社員である「メンター」が新入社員である「メンティー」を、さまざまな面でサポートする制度のことです。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 不安や悩みが相談しやすくなるため、これまで以上に定着率の向上に期待ができる
- メンターの指導スキルが向上する
- メンティーに対して、自社に関するさまざまな情報を教えることで、自社への理解が深まる
デメリット
- メンターの指導スキルによって、効果が大きく異なる
- メンターの負担が大きい
- メンターとメンティーの相性次第では、逆効果となる恐れがある
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、社員の能力開発を目的として、戦略的に部署を異動させることです。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- さまざまな分野の知識やスキルを兼ね備えた「ジェネラリスト人材」を育成できる
- さまざまな業務が行えるので、業務のマンネリ化を防げる
- 定期的に部署が異動となることで、新たな人脈の形成につながる
デメリット
- 一つの業務に特化した「スペシャリスト」を育成するのが難しくなる
- 異動するたびに新たな業務を覚える必要があるため、教育コストが高くなる
- 異動によって、また一から知識やスキルを習得しなければいけないため、モチベーションの低下につながる恐れがある
自己啓発
自己啓発とは、社員が自ら学んで能力を高める学習・育成手法のことです。自ら学ぶため、高いモチベーションでスキルアップしやすいのが特徴です。
自己啓発は企業が直接実施する育成ではなくプライベートで行う学習であることから、社員には費用面の負担がかかってしまいます。そのため、検定代や書籍購入の補助を行う企業が少なくありません。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 意欲を持って自発的に行うためスキルアップしやすい
- 社員のモチベーションを高めやすい
- 業務外の学習であるため、日々の業務への影響が少ない
デメリット
- 社員のプライベートな時間が使われる
- 多忙な場合、学習する時間が取れない
- 費用補助がないと社員の費用負担が大きくなる
MBO
MBOとは、経営学者のP.F.ドラッカー氏が提唱した概念で、社員ごとに設定した目標に対し、その進捗や達成具合に応じて評価を行うものです。「Management by Objectives」の略で、日本語では「目標による管理」などと訳されます。
社員自身が設定した目標にあわせて取り組む業務を決められることから、業務効率が高まりやすいのが特徴です。また、目標・業務を自ら決めることで、社員の職務能力向上にもつながります。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 社員自身が目標を設定でき、モチベーションを高めやすい
- 自ら設定した目標の達成具合が評価されるため、分かりやすく不満が出にくい
- 取り組むべき業務内容が明確化されるため、業務効率が高まりやすい
デメリット
- 業務内容や経営状況の影響によって、目標達成が困難になることがある
- 設定される目標の難易度は一人ひとりで異なるため、適正な評価をしにくい
コーチング
コーチングとは、部下の成長や目標達成を上司がサポートしていく育成手法です。上司は部下の能力や特性を把握し、それにあわせてさまざまな形で適切なサポートを行います。
指示を出して業務を進めるだけでは、部下の成長は鈍化します。部下が自ら成長するためには、上司がコミュニケーションを通して部下に気付きや動機を与え、「成長したい」という主体性を引き出すことが大切です。このようなことから、上司は部下の能力だけでなく、悩みや足りない部分を敏感に感じ取らなければいけません。
そのため、コーチングについての豊富な知識や経験が求められます。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 部下の主体性を引き出せる
- 部下が本来持っている能力や新たな可能性を引き出せる
- 自ら学ぶことへのモチベーションが高まる
デメリット
- マンツーマンでの教育であるため、効率は良くない
- 育成担当者にはコーチングスキルが求められる
階層別ごとに適した人材育成の手法
ここまでに紹介した人材育成の手法について、以下それぞれの各階層にどの手法が適しているか、一覧表にまとめました
【階層】
- 内定者の場合
- 新入社員・若手社員の場合
- 中堅社員の場合
- 管理職の場合
内定者 | 新入社員・若手社員 | 中堅社員 | 管理職 | |
OJT | 〇 | |||
Off-JT | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
1on1ミーティング | 〇 | |||
eラーニング | 〇 | 〇 | ||
ストレッチアサインメント | 〇 | 〇 | ||
メンター制度 | 〇 | |||
ジョブローテーション | 〇 | |||
自己啓発 | 〇 | 〇 | ||
MBO | 〇 | |||
コーチング | 〇 |
内定者の場合
内定者の場合には、まだ入社していないということもあり、以下のような人材育成の手法がおすすめです。
- OFF-JT
- eラーニング
- 自己啓発
新入社員・若手社員の場合
新入社員・若手社員の場合には、実際の業務における知識を身につけたりスキルアップしてもらったりするために、以下のような人材育成の手法がおすすめです。
- OJT
- OFF-JT
- eラーニング
- ストレッチアサインメント
- メンター制度
- 1on1ミーティング
中堅社員の場合
中堅社員の場合には、管理職にふさわしい人材となってもらうために、以下のような人材育成の手法がおすすめです。
- OFF-JT
- ストレッチアサインメント
- コーチング
- ジョブローテーション
管理職の場合
管理職の場合には、部下の育成やマネジメント・業務の進捗管理などがメインとなるため、以下のような人材育成の手法がおすすめです。
- OFF-JT
- 自己啓発
- eラーニング
- MBO
人材育成を成功させるために意識すべきポイント
人材育成を成功させるために、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 人材に関する課題を明確化する
- 明確な目標を設定して共有する
- 自社に最適な手法を選ぶ
一つずつ解説します。
人材に関する課題を明確化する
人材育成を成功させるには、人材に関する課題を明確化することが大切です。
課題を明らかにするには、人材状況をしっかり把握しなければなりません。社員のスキルマップなどを活用して、現在の状況を正しく把握しておきましょう。
現状が把握できたら、課題を明確にしていきます。会社の経営方針や目標を踏まえ、いまの人材には何が足りていないのか、どこを伸ばせばゴールに近づけるのか考えていきます。目標から逆算して解決すべき課題を洗い出していき、ゴールに向かってまっすぐ進める人材育成を意識しましょう。
明確な目標を設定して共有する
人材育成を成功させるためには、「どのような人材を育成したいのか」目標を設定する必要があります。
目標を設定しても抽象的すぎると方向性がブレてしまうので、なるべく明確に設定することが大切です。
目標を設定したら、社員一人ひとりに共有し、人材育成における方向性を統一しましょう。
自社に最適な手法を選ぶ
OJTやOff-JT・1on1ミーティングなど、人材育成の手法はさまざまです。
それぞれの手法にメリット・デメリットがあるので、特徴をしっかりと把握した上で、自社に最適な手法を選びましょう。
まとめ
本記事では、人材育成に用いられるおすすめの手法や人材育成を成功させるために意識すべきポイントについて解説しました。
人材育成に用いられる手法は、さまざまあります。
そのため、人材育成を行う階層や自社の状況を考慮した上で、最適な手法を選びましょう。
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