ノーマライゼーションとは?基礎知識や取り組むポイント・実際の事例をご紹介!
ノーマライゼーションとは、障がいや年齢に関係なく同じ社会で生活していくという考え方であり、日本だけでなく世界でも広がっています。しかし、ノーマライゼーションについてあまり理解していない人も少なくありません。また、どのような取り組みをノーマライゼーションと呼ぶのか気になる人も多いはずです。
そこで本記事では、ノーマライゼーションの基礎知識や取り組み事例・企業が取り組む際のポイントなどを解説します。
目次
ノーマライゼーションとは?インクルージョンとの違い
ノーマライゼーション(normalization)とは、障がいや年齢に関係なく同じ社会で生活していくという考え方のことです。日本語では、「標準化」や「正常化」と訳されることもあります。
ノーマライゼーションと似ている言葉としてあるのがインクルージョンです。インクルージョンとは、お互いの個性や価値観などを尊重し合って一緒に働くという包括的な考え方のことを指します。インクルージョンの一部としてノーマライゼーションがあることを理解しておきましょう。
ノーマライゼーションの歴史
ノーマライゼーションは、デンマークの社会省で知的障がい者の施設を担当していたニルス・エリク・バンク-ミケルセンにより提唱された考え方です。
1959年には、知的障害者福祉法が誕生したことがきっかけとなり世界中で次第に広まるようになり、1982年に障がい者に関する世界行動計画が採択されたことで、日本でも話題となりました。
ノーマライゼーションにおける8つの原理
ノーマライゼーションを実現するためには、以下の8つの原理をしっかり把握する必要があります。
・1日のノーマルなリズム:
朝になれば目を覚まして、身支度を済ませてから学校や会社へと向かう
・1週間のノーマルなリズム:
平日になれば学校や会社へと向かい、休日になれば自由な時間を送る
・1年間のノーマルなリズム:
長期休暇やイベント・四季などの変化を感じながら有意義な1年間を過ごす
・ライフサイクルでのノーマルな発達的経験:
幼少期であれば興味のある事柄に触れて、思春期や成人になれば恋愛やおしゃれにも気を遣うようになり、老後は自分の人生を振り返りながら余生を過ごす
・ノーマルな個人の尊厳と自己決定権:
人生における目標や目的を掲げて、それぞれが尊重できる
・その文化におけるノーマルな両性の形態すなわちセクシャリティと結婚の保障:
幼少期からの過程において異性との関係を築いていき、恋愛に興味を持って将来的には結婚も考える
・その社会におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利:
どのような人であっても、経済的な自立と安定を得るために公的な財政援助が受けられる
・その地域におけるノーマルな環境水準:
どのような人であっても、自分で住みたい地域を選んで交流が図れる
ノーマライゼーションの取り組み事例
ノーマライゼーションの取り組み事例として、以下の5つを紹介します。
・政府の場合
・厚生労働省の場合
・企業の場合
・教育現場の場合
政府の場合
政府ではノーマライゼーションの理念を実現するために、平成8〜14年度に「7カ年戦略」を掲げました。
具体的には、以下の7つの視点からバリアフリー化の促進や障がい者でも働ける就職先の確保・介護サービスの充実化などを図っています。
・地域で共に生活するために
・社会的自立を促進するために
・バリアフリー化を提進するために
・生活の質(QOL)の向上を目指して
・安全な暮らしを確保するために
・心のバリアを取り除くために
・我が国にふさわしい国際協力・国際交流を
厚生労働省の場合
厚生労働省では、ノーマライゼーションを推進して障がい者の主体性を尊重するために、利用者がサービスを選択できる仕組みとして、平成15年度から支援費制度を導入しています。また、平成18年4月からは支援費制度に含まれていない精神障がい者もサービスが利用できるよう、障害者自立支援法へと移行しています。
そのほかにも、障がい者へ情報をスムーズに共有するために手話や点字が使える職員を派遣するなどの施策を講じました。
企業の場合
大手企業を中心に多くの企業でもノーマライゼーションを実現するような施策を行っています。
ノーマライゼーションに取り組んでいる企業は以下の通りです。
・ソフトバンク株式会社:
「障がいの有無で仕事上の区別はしない」をコンセプトに業務内容や雇用形態などはすべて統一化されており、障がいによって困難なことがあれば極力サポートするような環境を整えている
・セブン&アイ・ホールディングス:
本人の意思を考慮して配属先や担当する業務・就業時間などを決めており、1人でも多くの障がい者が働きやすいような環境づくりに努めている
・TOHOシネマズ株式会社:
障がい者雇用における動画を制作しており、アルバイト勤務として「業務としての接客」や「シフト勤務での自己管理」などの就労経験を積み重ねてもらうことで、自己実現の達成を目標としている
教育現場の場合
教育現場においてはインクルーシブ教育を導入しています。
インクルーシブ教育とは、障がいの有無にかかわらず、全員が同じ教室で授業を受ける教育方針のことです。インクルーシブ教育を実現させるためにも、障がい者が不自由なく生活できるような合理的配慮が学校側に求められます。
ノーマラーゼーションを企業で取り組むための3つのポイント
ノーマラーゼーションを企業で取り組む場合、以下の3つのポイントを意識しましょう。
・一般の従業員と対等に扱う
・助成金を積極的に活用する
・入社前にお互いの認識をマッチさせる
一つずつ解説します。
一般の従業員と対等に扱う
障がい者だからといって特別扱いすると、周りの従業員だけでなく本人も気を遣ってしまいます。そのため、一般の従業員と対等に扱いましょう。ただし、障がいの影響によって業務に支障が出ることもあるので、ほかの従業員がいつでもサポートできるような環境を整備することが重要です。
助成金を積極的に活用する
ノーマライゼーションを取り組むにあたって、障がい者が不自由なく働けるための環境を整備する必要があります。しかし、環境を整備するためには費用がかかるので、躊躇ってしまう企業も少なくありません。
そんなときには助成金を積極的に活用しましょう。助成金を活用することによって、なるべくコストを抑えて障がい者でも働けるような環境を整備することが可能です。
入社前にお互いの認識をマッチさせる
せっかく障がい者を雇用したのにもかかわらず、職場の雰囲気や仕事内容が合わずにすぐに辞められてしまっては意味がありません。早期離職を防ぐためにも、お互いに認識をマッチさせることが重要です。そのため、採用前に企業実習を行うのもおすすめです。
まとめ
本記事では、ノーマライゼーションの基礎知識や取り組み事例・企業が取り組む際のポイントなどを解説しました。
ノーマライゼーションによって障がいの有無にかかわらず、一人ひとりが自由に生活できるようになります。これからノーマライゼーションへの取り組みを検討しているのであれば、本記事を参考にしてみましょう。
株式会社ニューズベースでは、採用代行(RPO)サービスや研修運営アウトソーシングサービスなどを提供しています。スポットでの依頼はもちろん、トータルでのサポートも承っておりますので、「リソースが足りなくて困っている」「知識や経験が乏しいのでサポートしてもらいたい」という担当者はお気軽にご相談ください。