【人事向け】研修でグループワークを行う目的や効果・進め方などを解説!
研修は、従業員のスキルアップを目的として開催している企業がほとんどですが、研修のなかにグループワークを導入している企業も数多くあります。
グループワークを導入することでどのような効果やメリットが得られるのでしょうか。そこで本記事では、グループワークの実施目的や効果・実際に開催されているグループワークの例などを紹介します。
これからグループワークの導入を検討している企業やグループワークの効果をさらに高めたい担当者はぜひ最後までご覧ください。
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目次
グループワークとは
グループワークとは、参加者を複数人でグループ分けした上で作業を行うワーク形式のことです。
グループワークは、新人研修や社員研修、採用など多様な場面で行われ、数人のグループごとに議論を交わしながら成果物を出すことを目的としています。
グループディスカッションとの違い
グループワークは、よく「グループディスカッション」と混同されますが、異なる意味を持ちます。
グループディスカッションとは、参加者同士でテーマに対して議論を行い、結論を導く過程のことです。
採用や研修において、参加者のコミュニケーション能力・リーダーシップ・主体性・協調性などを評価するために用いられることもあります。グループディスカッションのテーマは、明確な答えがない、または正解を導き出すのが困難であるように設定されるのが一般的です。
一方、グループワークは、グループディスカッションの内容に加えて、結論を制作物やプレゼンテーションなどの「成果物」として発表するまでの流れを指します。
つまり、グループワークとグループディスカッションは、それぞれ重視する最終的なゴールが異なるのです。
そのため、テーマを設定する際には、それぞれの特徴を把握したうえで内容を検討する必要があります。
グループワークを実施する目的
グループワークを行う場合、目的を明確にしたうえで実施しなければ十分な効果は得られません。
その目的を決めるにあたって重要となるのが、グループワークをどのようなシーンに取り入れるかです。研修や新入社員研修、選考など開催される場面ごとに目的が異なります。
ここでは、グループワークを実施する目的を利用シーンごとに解説します。
研修の場合
企業や団体などで研修を実施する際、グループワークを導入することで目的に応じたさまざまな効果が得られます。
研修でグループワークを行う目的を3つ紹介します。
アイスブレイクの一環
企業によっては、1日だけではなく、1週間や1ヶ月などの長期に渡って研修をおこなう企業も少なくありません。
例えば新入社員研修の場合、お互いのことを知らない状態で研修をおこなっても緊張してしまい、充実した研修にはなりません。
その緊張を少しでもほぐす目的として、グループワークが使われたりもします。
チームビルディングを行う
チームビルディングとは、各メンバーのスキルや強みを活かした上で、目標を達成できるチームづくりを行う取り組みです。
グループワークではテーマについて話し合っていく中で、進行役やリーダーなど役割分担を決めていくので、自然とチームビルディングの状態にすることができます。
チームビルディングを行うメリットや具体事例については以下の記事で解説しています。
アウトプットの質を高める
グループワークのもう一つの目的は、「アウトプットの質を高める」ことです。グループワークの中で、多様な人材と一緒に議論を行うことでさまざまな視点を得られるでしょう。
また、議論が終わった後は、受講者一人ひとりの課題に対し、フィードバックやアドバイスをもらえます。
その結果、受講者のアウトプットの質が向上し、研修後もビジネスの現場で生かせるようになるのです。
新入社員研修や選考の場合
グループワークは、新入社員研修や選考のなかでも実施されます。
さきほどお伝えした研修の場合とは違い、新入社員研修や選考ではグループワークを「評価」のために活用することがあります。
面接や書類選考で見えない部分の評価
採用時における書類選考や面接だけでは、応募者の主体性や協調性、リーダーシップやコミュニケーション能力といった項目は評価できません。
採用活動にグループワークを取り入れれば、応募者本来の姿を評価できるため、業務内容や求める人物像とのミスマッチを防げます。
また、新入社員研修でグループワークを実施することで、入社後に業務に取り組む姿勢を実際に確認できるため、配属先の決定に役立つでしょう。
グループワークの実施メリットと効果
グループワークの実施するメリットと効果は以下の3つです。
- 協調性やコミュニケーション力の強化
- 解決力や思考力が養われる
- 参加者同士の関係が築かれる
一つずつ解説します。
協調性やコミュニケーション力の強化
会社というのは、目標に対して社員が一致団結して働く1つのチームとも言えます。業種や職種に関係なく、自分だけではなく上司や部下・同僚と、チームプロジェクトとして業務を行う場面は多いことからも、必然的にコミュニケーションや協調性は必要となっていきます。
グループワークでは、チームで1つのテーマについて話し合いながら解決策を導き出すので、実践的なチームプロジェクトの疑似体験によって、協調性やコミュニケーション力を磨くことができます。
解決力や思考力が養われる
グループワークでは、テーマについて話し合って発表までおこなわなければいけません。成果物を作成するにあたり、グループでの協力はもちろんのこと、個人としての解決までの思考力も求められます。業務プロセス上での実践的な思考力にも大きく影響します。
テーマについて一人一人が考えて、出し合った意見の中から課題の解決に向かうので、解決力や思考力を養える効果が期待できます。
参加者同士の関係が築かれる
グループワークを通して、参加者同士の関係が築かれる点もメリットの一つです。
例えば、同じ部署の社員でも普段あまり話す機会がなかったり、あるいは部署が違うためほとんど接点がなかったりする社員もいるでしょう。
そういった人が同じグループに入り、グループワークを通してひとつの課題に取り組むことで、お互いの考え方や個性などを見つけ相互理解を深められます。
その結果、研修時だけでなく研修後もコミュニケーションが円滑になり、チームワークが向上したり職場の雰囲気が良くなったりするのです。
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グループワークの実施種類
グループワークの実施種類は以下の3種類があります。
- 作業型
- プレゼン型
- ビジネスケース型
作業型
1つ目は作業型です。
作業型は主に話し合いではなく、身体を動かしながらおこなうグループワークになります。
実施ケースの一例には、「A4の紙を使ってどれだけ高いタワーを作成することができるのか」などの協力型のゲーム形式が多いです。
身体を動かしていくうちに、自然とチーム内のコミュニケーションが活発になります。新入社員研修でおこなわれることが多いです。
プレゼン型
2つ目はプレゼン型です。
プレゼン型は、研修担当者からのお題に対してチーム内で議論して、最終的に発表するグループワークです。
議論の内容を記録する人や進行する人、最後に発表する人など、それぞれの役割を分担することで、いかに有意義な議論ができるかが鍵となります。
ビジネスケース型
最後の3つ目はビジネスケース型です。
ビジネスケース型は、方法はプレゼン型とほとんど変わりありませんが、本格的にビジネスとしての課題解決についての議論をおこないます。
そのため、出題された課題について、より具体的に深掘りすることがポイントです。
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グループワークの例
さまざまな種類のグループワークがありますが、その中でも代表的なグループワークを3つ紹介します。
- NASAゲーム
- バースデーライン
- ペーパータワー
順番に見ていきましょう。
NASAゲーム
NASAゲームとは、月に不時着した船員を自分たちであると仮定して、船に残っている道具から船員ごとに何を持っていくのか、グループで相談するゲームです。
道具は全部で15種類と多いので、グループ内で話し合って、本当に必要な道具は何かを見定める必要があります。
まずは個人で必要な道具をある程度絞った後にグループで意見を交換。最終的には担当者から模範解答を配られるので、答え合わせをして誤差が少ないグループの優勝です。
他の人の意見と自分の意見を交換することで、自分1人では考えられなかったような優先度の決め方を知ることができるため、物事に対しての視野を広げることができます。
バースデーライン
バースデーラインとは、グループで誕生日順に並ぶゲームです。
誕生日を伝える方法はジェスチャーのみとなっており、話したり紙に書いて教えたりすることはできません。それ以外の方法でいかに速く正確に自分の誕生日を伝えることができるのかがポイントです。順番に並び終えた後は実際に正しく並んでいるのか、答え合わせをします。
例え間違っていたとしてもコミュニケーションのきっかけになるはずです。
ペーパータワー
ペーパータワーとは、A4用紙やセロハンテープなどを使用して、最も高いタワーを作るグループワークです。
人によってタワーの作り方に対してさまざまな考えを持っているので、意見を共有することで、より効率的かつ安全なタワーの作成方法を導き出すことができます。もし仮に実行した作成方法が上手くいかなくても、お互いがフォローすることで柔軟な対応力が身につくはずです。
少人数の場合には、2人1組で行うこともあります。ペーパータワーは1回だけではなく、2回ほど実施するのがおすすめです。
グループワークの進め方
グループワークの進め方は以下の3ステップです。
- グループワークの詳細を説明
- グループワーク開始
- グループごとに発表・フィードバック
順番に解説します。
1.グループワークの詳細を説明
グループワークでは、何を始めるのか具体的に分からなければ、参加者は混乱してしまいます。グループワーク本来の効果が発揮できなくなるため、まずは具体的にどんなグループワークを行うのか、詳細を説明しましょう。
以下の内容は最低でも参加者に共有しておく必要があります。
- 今回開催するグループワークの目的
- ルール説明
- 時間制限
- 注意点
上記の内容を参加者に共有したら、一度質疑応答の時間を取りましょう。
2.グループワーク開始
グループワークの詳細を説明したら、実際にグループワークを開始します。
グループワーク中は、「コミュニケーションを積極的に取っているか」、「自分の役割を全うしているか」などを担当者はしっかりチェックしましょう。
担当者によってチェックする項目が異なる場合、評価に偏りが出てしまうので、事前に評価基準シートを作成しておくのがおすすめです。
3.グループごとに発表・フィードバック
グループごとの話し合いの時間が終了したら、それぞれ話し合った内容の発表です。
発表の際には、グループの代表者が1人で発表するスタイルもしくはグループ全員で発表する方法の2つがあるので、事前に告知しておきましょう。
グループごとの発表が終わったら、司会者は模範解答と照らし合わせながらそれぞれのグループにフィードバックを行い、順位を決めます。フィードバックは抽象的ではなく、具体的に行うことで説得力が増すのでおすすめです。
テーマを作成するポイント
テーマを作成するポイントとして最も重要なのは、グループワークを行う目的を明確にすることです。
例えば、個々の能力を見極めるためにおこなうという理由だけでは抽象的過ぎます。個々のどういう能力を見極めたいのかを言語化、明確にすることで、より効果的なグループワークに繋がるのです。
テーマの大枠の決め方として、以下のような例があります。
- 課題解決型:
「売り上げを増やす方法」など、明確な答えが存在しない課題の解決方法をチームで導き出す - 自由討論型:
「働きやすい会社とは」など、抽象的な課題に対して話し合う - 選択型:
「AとBとCならどれを選ぶか」など、複数の選択肢の中から一番適している答えを選ぶ
それぞれのテーマによって、見極められるポイントも異なります。そのため、自社に合ったテーマを選びましょう。
効果的な実施のために必要な準備
効果的な研修を実施するための必要な準備は以下の3つです。
- 評価基準の明確化
- スケジュール管理
- 道具の準備
順番に解説します。
評価基準の明確化
評価基準を明確化しておきましょう。評価基準は、なるべく細分化させることが重要です。
例えば、「積極性」という項目を設定したとしても、評価担当者によって積極性の判断基準が異なります。そのため、「発言数」や「発言時間」なども明確に設定することで、一人一人を正確に判断することができるようになります。
スケジュール管理
スケジュール管理も非常に重要です。
プレゼン型やビジネスケース型の場合、チーム内で議論を重ねて実際に発表までおこなわれなければいけません。
スケジュール管理を決めておかないと、予定していた時間を過ぎてしまったり、発表する時間がなくなってしまい、中途半端に終わってしまうというケースも珍しくありません。
実際にリハーサルをしながら、時間配分を考慮したスケジュール管理を設定しましょう。
道具の準備
オンライン開催の場合には不要ですが、グループワークでは、A4用紙やペン、ホワイトボードなどの道具が必要です。
グループワーク中に道具が足りなくなってしまうと、時間のロスに繋がるので、行うグループワーク内容に合わせて、あらかじめ用意しておきましょう。
グループワークを効果的にする方法
グループワークをより効果的にするのであれば、以下の3つが非常に重要です。
- メンバーが積極的に参加できる環境を作る
- 無駄な時間が発生しないように気をつける
- フィードバックを必ず行う
順番に見ていきましょう。
メンバーが積極的に参加できる環境を作る
グループワークは開催内容や企業によって目的は異なりますが、基本的にコミュニケーションが重要です。そのため、メンバーが積極的にグループワークへ参加できる環境を作る必要があります。
男性と女性の比率が偏ってしまうと話しづらくなる人もいるので、5:5にしたり、人数が多いと話す機会が必然的に少なくなってしまうので、3〜4名の少人数グループで開催したりするなどの方法が挙げられます。
人前で発言するのが苦手という人もいるので、付箋やジェスチャーを使ってのコミュニケーションを採用するなどの工夫が大事です。
無駄な時間が発生しないように気をつける
研修によっては一部のグループだけ話し合いが長引いてしまい、他のグループは待機している時間が発生してしまうことも珍しくありません。
このような無駄な時間が発生してしまうと、参加者のモチベーションが下がってしまう可能性があるので、なるべく無駄な時間をなくすことが重要です。
担当者はそれぞれのカリキュラムにおいて明確な制限時間を割り振り、タイムマネジメントを徹底しましょう。
フィードバックを必ず行う
フィードバックがなければ、どこが良くてどこがダメだったのかが分からず、参加者のスキルアップにつながりません。そのため、グループワークの締め括りとしてフィードバックは非常に重要です。
フィードバックを行うときには必ず、良かった点と改善点を指摘してあげましょう。事実に基づいた内容を指摘する必要があるので、担当者はグループワークでの参加者の行動や言動をしっかりメモしておく必要があります。
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まとめ
今回は、グループワークの実施目的やメリット、グループワークの種類などについて解説しました。
グループワークは、社員同士の交流を促したり、自分以外の意見を聞くことで、ブラッシュアップすることができる絶好の機会です。社員の成長にもつながるので、研修を開催するにあたってグループワークは必要不可欠と言えるでしょう。
今回の記事を参考に、自社に最適なグループワークを実践してみてください。
最近ではオンラインでグループワークをおこなう企業も増えてきました。
しかし、オンラインでは対面に比べてトラブル対応やシステムエラー対応などのイレギュラーな事象も多く、導入して間もない企業が多いので、負担が大きいと感じる担当者もいるはずです。
そんな時には、アウトソーシングサービスを検討しましょう。
アウトソーシングサービスによって、研修の事前準備から当日運営までを一括で依頼することができるため、担当者は研修運営のコア業務に注力できます。
また、進行システム面では、オンライン研修でよく活用されるブレイクアウトルーム機能などのテクニカルなサポート役を任せることで、講師や受講者が安心して研修を置けることが可能です。
弊社、株式会社ニューズベースでは研修運営のアウトソーシングを提供しており、年間400件以上のアウトソーシング実績を有しています。オペレーション体制を強みとしており、研修のトータルサポートを依頼することができます。
業務の標準化や内製化の支援もおこなっているので、最終的に自社で研修を完結したいという担当者もお気軽にご相談ください。
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