業務改善助成金とは?メリットや支給要件・申請フローを解説!

賃金を引き上げたり、生産性向上のために設備を購入したりした際に「業務改善助成金」を申請することで、費用の一部を助成できます。
しかし、業務改善助成金についてあまり把握していないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、業務改善助成金の基礎知識や申請するメリット・支給要件・申請するまでのフローなどについて解説します。
目次
業務改善助成金とは?
業務改善助成金とは、厚生労働省が中小企業等を対象に実施している助成金制度のことです。
本制度は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げることと、生産性を向上させるために設備投資や人材育成などの取り組みを行った場合、その費用の一部を国が助成します。
対象となる具体的な経費の一例は、以下の通りです。
謝金 | 専門家への謝金 |
旅費 | 専門家や職員の旅費 |
借損料 | 器具機械の借料および損料 |
会議費 | 会議のための会場借料・通信運搬費 |
印刷製本費 | 研修資料やマニュアルの作成費用 |
原材料費 | 資材購入の費用 |
機械装置等購入費 | 機器・設備の購入・製作または改良費用 |
造作費 | 機械装置据置などの費用 |
人材育成・教育訓練費 | 賃上げに効果的な外部の人材育成セミナーなどの受講費 |
経営コンサルティング経費 | 外部専門家やコンサルタント会社による経営コンサルティング費用 |
パソコンやタブレット・一部車両・広告宣伝費などは対象外ですが、特例事業者は対象となることがあります。
業務改善助成金を活用することで、中小企業は金銭的な負担を抑えながら生産性を向上させることが可能です。
業務改善助成金を申請するメリット
業務改善助成金を申請するメリットは、以下の通りです。
- 最大600万円まで支給される
- 従業員のモチベーション向上につながる
順番に解説します。
最大600万円まで支給される
業務改善助成金を申請することで、最大600万円まで支給されます。
そのため、中小企業にとっては大きな支援となるでしょう。
なお、600万円を支給されるための具体的な条件は、以下の通りです。
- 事業場内最低賃金を90円以上引き上げること
- 引き上げる対象の労働者数が10人以上であること
従業員のモチベーション向上につながる
業務改善助成金を申請するための条件として、最低賃金のアップが含まれています。
つまり、「業務改善助成金を申請する=最低賃金がアップする」ということですので、従業員のモチベーション向上に期待ができます。
また、業務改善助成金によって最新機器やシステムを導入できるため、業務効率化によって業務時間が短縮し、職場環境を改善することが可能です。
職場環境が改善することで離職率が低下し、優秀な人材の確保にもつながります。
業務改善助成金の支給要件について
業務改善助成金は、申請すればどのような企業にも支給されるというわけではありません。
以下のような支給要件がありますので、必ず確認するようにしましょう。
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇・賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
上記の支給要件に該当する場合のみ、事業場内最低賃金の引き上げ計画書と設備投資等の計画書を作成することで、申請できます。
業務改善助成金の助成上限額・助成率
業務改善助成金の助成上限額は、以下の通りです。(令和7年4月9日時点)
コース区分 | 事業場内最低賃金の引き上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
右記以外の事業者 | 事業場規模30人未満の事業者 | |||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2〜3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4〜6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上 | 120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2〜3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4〜6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上 | 180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2〜3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4〜6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上 | 300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2〜3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4〜6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上 | 600万円 | 600万円 |
助成率は、以下の通りです。
1,000円未満 | 4/5 |
1,000円以上 | 3/4 |
業務改善助成金を申請するまでのフロー
業務改善助成金を申請するまでのフローは、以下の通りです。
- 書類を準備する
- 計画を実施する
- 報告書を提出する
- 入金
- 状況を報告する
順番に解説します。
1.書類を準備する
業務改善助成金を申請するにあたって、まずは書類を準備しましょう。
準備する書類は、以下の通りです。
- 交付申請書
- 事業実施計画書
事業実施計画書には、計画を実施することで生産性が向上する根拠や理由などを詳しく記載します。
書き方がわからない場合には、助成金の申請サポートサービスを利用しましょう。
書類の準備が完了したら、事業所管轄の労働局へ提出します。
提出してから交付が決定するまでは約1ヶ月かかります。
2.計画を実施する
書類を提出して交付が決定したら、事業実施計画書の内容に従って取り組みを実施します。
具体的にはITツールの導入やコンサルティングの活用・研修の受講などが挙げられます。
3.報告書を提出する
計画を実施したら、その内容を報告書にまとめます。
具体的に記載すべき内容は、以下の通りです。
- 業務改善計画の実施結果
- 助成金対象経費の支払い結果
- 賃金の引き上げ状況
報告書の記載が完了したら、労働局に提出しましょう。
4.入金
労働局に提出後、その内容が適切かどうかの審査が行われます。
審査には1ヶ月ほどかかりますが、適切だと認められた場合には支払請求書(様式第13号)を提出することで、助成金が入金されます。
5.状況を報告する
入金後に企業が不当に労働者の賃金を下げたり解雇したりすることがないよう、状況報告書を作成して提出する必要があります。
提出期限は、以下のいずれか遅い日から起算して1ヶ月以内となりますので、絶対に忘れないようにしましょう。
- 賃金額を引き上げてから支払い請求手続きを行った日の前日
- 賃金額を引き上げてから6月経過した日
まとめ
本記事では、業務改善助成金の基礎知識や申請するメリット・支給要件・申請するまでのフローなどについて解説しました。
業務改善助成金とは、厚生労働省が中小企業等を対象に実施している助成金制度のことであり、事業場内の最低賃金を30円以上上げたり、生産性を向上させるために設備投資を行ったりすることで、最大600万円支給されます。
非常に大きな支援となりますので、中小企業は特別な事情がない限り、申請することをおすすめします。
ただし、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることや、解雇・賃金引き下げなどの不交付事由がないことなど、支給要件が明確に定められているので、注意が必要です。
申請するまでのフローについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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