キックオフミーティングを開催する目的や当日の進め方・注意点を解説
大きなプロジェクトが発足する際に開催される行事「キックオフミーティング」。企業によっては社内の恒例行事として取り入れていることも珍しくありません。
最近では新型コロナウイルスの影響によって開催を中止していた企業もありますが、最近では感染者数も減少傾向にあるため、今年から再開したり新たに導入を検討していたりする企業も多いのではないのでしょうか。
そこで今回はキックオフミーティングを開催する目的や当日の進め方・注意点について解説します。
目次
キックオフミーティングとは
キックオフミーティングを開催したことがない企業の担当者は、そもそもキックオフミーティングがどういうものかあまり把握していないことがほとんどです。
キックオフミーティングとは、プロジェクトに関係するメンバーが集まって顔合わせをしたりプロジェクトの目的や内容について話し合ったりするための会議のことを指します。企業によってはプロジェクトメンバーのみならず、全ての従業員や取引先の関係者も総出で参加するなど、一大イベントにしていることもあります。
ちなみにキックオフミーティングという言葉の由来は、試合開始することを英語では「kick off」と言うため、プロジェクトのスタートを試合開始に見立てて作られた造語です。
キックオフミーティングの目的
キックオフミーティングを成功に導くためには、目的を意識して実施する必要があります。ここでは、キックオフミーティングの目的を以下の2つの場合に分けて解説していきましょう。
会社全体でのキックオフミーティングの場合
会社全体としてのキックオフミーティングは、社員総会にあたるでしょう。
法人企業の場合、年に一度の最高意志決定がある重要な会議となります。
社員総会を行う目的として、以下の3項目が挙げられます。
・会社全体の戦略や将来像を共有する
・コミュニケーションの活性化
・社員のモチベーション向上
順番に説明していきましょう。
会社全体の戦略や将来像を共有する
社員総会では、会社全体の戦略や将来像を共有する目的があります。理由は、社員が会社の戦略を認識していない場合、達成したい同じ将来像に会社を向かわせることが難しくなるからです。
戦略や将来像に共通意識をもってもらうことで、自分がしている仕事にも納得して取り組んでもらいやすくなるでしょう。
コミュニケーションの活性化
社員総会の目的は、社員同士のコミュニケーション活性化をするためにあります。
多くの従業員を抱える企業であれば、社員同士の面識すらないことがあります。そうなると社内メールでのやりとりで完結してしまい、些細なメール内容で関係性が悪化することもあるでしょう。
そこで、社員総会の実施により社員同士の円滑なコミュニケーションを促し、一人ひとりに帰属意識を持ってもらう目的があります。
社員個人のモチベーション向上
社員総会は、1年の総まとめとして業績発表の場に最適でしょう。というのも、日頃、従業員とコミュニケーションが少ない経営陣が表彰式という場を活用して、社員に感謝を伝えることができるからです。
また、業績発表をすることで、社員総会の参加メンバーが次年度の目標を立てるきっかけにもなるでしょう。
プロジェクトごとのキックオフミーティングの場合
プロジェクトごとにおこなうキックオフミーティングを、プロジェクトキックオフミーティングと言います。プロジェクトキックオフミーティングの実施理由として、関わるメンバーの意識統一が最も重要な目的になるでしょう。
プロジェクトキックオフミーティングを行う目的として、以下の3項目が挙げられます。
プロジェクトの進む方向を共有する
プロジェクトの進む方向性を集まったメンバーに理解させるという目的があります。なぜなら、プロジェクトの方向性が曖昧なまま進行してしまうと、少しの理解不足から大きく方向修正に時間がかかる可能性があるからです。
「何を達成したいのか?」「起こる問題は何か?」など5W2Hにしたがって方向性をまとめ、正確に共有しましょう。そうすることで、全員の意識を統一してプロジェクトを遂行することが可能になります。
プロジェクトの区切りとなるため
進捗報告や企画の修正などは、プロジェクト進行中に何度か行なわれると思います。しかし、一年のうち数回の大きな区切りとしてキックオフミーティングを行なうことで、一度仕切り直して新たにプロジェクトを全員で考える節目になるでしょう。
ダラダラと区切りのないままプロジェクトが進行しないようにする対策としての目的をもっています。
メンバー紹介を行なうため
キックオフミーティングは、参加メンバーが全員集まる機会の少ないタイミングです。特に、自己紹介を行なうことで、「どのポジションを担当するのか?」を共有することが可能になります。
そうすることで、プロジェクト進行中に疑問点が出た場合でもメンバー同士での問題解決がスムーズに行なえるでしょう。
キックオフミーティングを開催する方法
キックオフミーティングを開催する方法はオフラインとオンラインの2つ。
オフラインの場合は会議室や大きな会場などを貸し切って行います。同じ場所に多くのメンバーが集まるので、士気が高まり、一人ひとりのモチベーション向上に繋がります。ただし、遠方にいるメンバーは参加できない可能性が高いので、疎外感を感じるかもしれません。
一方、オンラインの場合はWeb会議システムやチャットツールを用いて開催します。同じ場所にいなくても開催できるので、遠方のメンバーとも容易に顔合わせすることが可能です。懸念点としては、画面越しで行うので、一人ひとりの熱量が感じられにくくなります。
その結果、キックオフミーティングが終了してしまうとプロジェクトへの熱が早々に覚めてしまい、本来の目的が失われてしまうことがあるのです。
キックオフミーティングに必要な準備
キックオフミーティングに必要な準備について全社およびプロジェクトごとに分けて解説します。
全社でのキックオフミーティングの場合
全社をあげてのキックオフミーティングは、企業規模にもよりますが参加者が多くなることが予想されます。そのため、プロジェクトごとの場合と異なり、前述の通り社員総会のような意味合いを持つこともあります
規模が大きくなりますので、当日スムーズに進めるためには、事前の準備が大切です。
開催方法の決定
キックオフミーティングの開催方法にはオフライン、オンライン、ハイブリッドの3種類があります。条件や状況に応じて、適切な開催方法を選びましょう。
プロジェクトごとのキックオフミーティングとは異なり、全社の場合は顔を突き合わせることはあまり重視されません。そのため社員数が多い、拠点が離れているなどの場合はオンラインやハイブリッドなどで開催するのも良いでしょう。
一方、オフライン開催の場合は、社員が入り切るだけのキャパシティを持つ会場をおさえる必要があり、準備に多くのリソースがかかります。
開催の連絡
キックオフミーティングの開催日や場所について社員に連絡を行います。オンラインやハイブリッド開催の場合は、配信URLもあわせて通知しましょう。
企画立案
全社でのキックオフミーティングは社員総会的な要素が強いため、目的に合わせた企画も事前に立案しなければなりません。経営者による挨拶や今後の方針の発表だけでなく、ゲストスピーチやワークショップ、交流できるコンテンツなど必要なものをピックアップしていきましょう。企画が確定したら、それに合わせて準備を進めます。
当日の役割分担
全社でのキックオフミーティングは規模が大きくなることがほとんどです。特にオフライン開催の場合は、当日の運営スタッフの動きを決めておかないと混乱する恐れがあります。
また、役割分担を決めるとともにリハーサルも行いましょう。全体の流れや時間配分、起こり得るトラブルなどについて事前に把握することができます。
プロジェクトごとのキックオフミーティングの場合
プロジェクトごとのキックオフミーティングは、関係者のみで行います。そのため、社員総会的な意味合いがある全社でのキックオフミーティングと異なる点を意識して準備を進めましょう。
参加者の選定と通知
まずは参加者の選定を行います。社内のプロジェクトメンバーはもちろん、パートナー企業の担当者も含まれることがあります。漏れがないように、事前に関係者は誰なのかを洗い出すことが大切です。また、スケジュール調整を行ってできるだけ全員がキックオフミーティングに参加できるようにしましょう。
会場の手配
プロジェクトごとのキックオフミーティングは、イベントというよりも会議の側面が強くなります。そのため、全員が顔を突き合わせて話し合えるような会場を手配することが大切です。人数にもよりますが、会議室などが良いでしょう。
遠方の参加者がいる、当日どうしても会場に足を運べないといった参加者がいる場合は、Web会議ツールを活用し、オフライン+オンラインのハイブリッド形式で行なうことも視野にいれましょう。
資料の準備
キックオフミーティングに使用する資料も準備します。
- プロジェクトの目的が分かるもの
- 関係者一覧や担当が分かるもの(体制図)
- プロジェクトのスケジュールが把握できるもの
キックオフミーティングの段階ではプロジェクトの詳細が決まっていないことは少なくありませんが、少なくとも上記3点は揃えておけるとよいでしょう。詳細については、キックオフミーティングにて顔を突き合わせてから決定していくこともできます。
キックオフミーティング当日の進め方
キックオフミーティング当日の流れを、全社およびプロジェクトごとに分けて解説します。
全社でのキックオフミーティングの場合
全社でのキックオフミーティングは、以下のような流れで進めます。
- 商況報告
- 経営側からのプレゼンテーション
- 社員の表彰式
- 懇親会・交流会
- その他コンテンツ
まずは自社の売上や利益、目標達成度などをまとめて報告し、社員の共通認識を深めます。その上で、経営側から今後の目標などについてプレゼンテーションを行います。この流れで進めることで、社員は企業への理解を深め、同じ方向を向いて進みやすくなります。
その後、社員の表彰式を行います。経営側からの一方的な発信だけではなく、社員にも目を向けているということをアピールでき、社員のモチベーション向上につながります。
表彰式後は懇親会などを行って、社員同士の交流を図る流れが多いです。レクリエーションなどのコンテンツを用意するのも良いでしょう。
他にも、テーマに沿ったゲストによるスピーチや社員のプレゼン大会など、必要に応じてプログラムを企画しましょう。
プロジェクトごとのキックオフミーティングの場合
プロジェクトごとのキックオフミーティングは、以下のような流れで進めます。
- 挨拶
- メンバーの紹介と自己紹介
- プロジェクトの概要説明
- プロジェクト目標の説明
- 質疑応答
まずは担当者が簡単な挨拶を行い、続けてメンバー紹介をします。紹介を受けたメンバーは軽く自己紹介をして、メンバー間の相互理解を深めましょう。
続いて、プロジェクトの概要や目的を説明します。目的が明確に定まっていないとメンバーはどこに向かって走れば良いのか分からなくなってしまいます。目的は具体的に設定し、分かりやすく伝えることが大切です。例えば数値を用いるなど、メンバーがイメージしやすい工夫をしましょう。
最後に質疑応答を行います。その場での回答が難しい質問については、後日回答するようにします。
キックオフミーティングの注意点
キックオフミーティングを開催する上で注意する点は以下の3つです。
・余裕のあるミーティング時期の設定
・質疑応答に時間をかけすぎない
・資料の共有を忘れない
一つずつ解説します。
余裕のあるミーティング時期の設定
先ほども説明した通り、キックオフミーティングはなるべくプロジェクトメンバー全員が参加することに意味があります。そのため、余裕のあるミーティング時期を設定することが大事です。
メンバーによっては1ヶ月後の予定も既に埋まっていることがあるので、2〜3ヶ月後に開催することを意識しましょう。
質疑応答に時間をかけすぎない
キックオフミーティングでプロジェクト内容の説明が終了した後に質疑応答の時間を設けますが、あまり時間をかけすぎないように注意しましょう。その場で質問に答えた方がすぐに疑問点が解決するのでとても質問者にとってはメリットですが、あまりにも時間をかけすぎると、最後に締まりが悪くなってしまうからです。
その結果、メンバーのモチベーションが下がる原因にもなるので、質疑応答はあらかじめ時間を決めて行うようにしましょう。
資料の共有を忘れない
キックオフミーティングが終了したら説明した時の資料をメンバー全員に共有しましょう。
キックオフミーティングは、プロジェクト目標に対して共通認識を持つことも目的の一つです。そのため、プロジェクトの進行中にメンバー同士で価値観や認識のズレが生じた際、資料をあらかじめ共有しておくことでトラブルの抑制につながります。
まとめ
本記事では、キックオフミーティングを開催する目的や当日の進め方・注意点などについて解説しました。
キックオフミーティングは、プロジェクトメンバーと目的を共有してモチベーションを高めるために欠かせないイベントです。そのため、導入していない企業は導入を検討してみましょう。
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今回の記事を参考に効果的なキックオフミーティングを開催しましょう。