カンファレンスのやり方をイベント運営のプロが教えます
大規模なビジネスイベントである、カンファレンスの設計手順を理解できているでしょうか?
カンファレンスは複数の登壇者や登壇企業、ブース出展がなされるイベントであり、一企業が開催するセミナーに比べて、長い準備期間が必要となります。
カンファレンスの準備には、下記の4つの段階があります。
- 半年前までの準備(目標設定の段階)
- 半年前~前日までの準備(手段検討~具体化の段階)
- 当日(運営の段階)
- カンファレンス後(フォローの段階)
この記事では、イベント運営のプロの視点から、カンファレンスのやり方を徹底的に解説します。
目次
半年前までの準備(目標設定の段階)
カンファレンスは複数の登壇企業や登壇者が存在したり、ブース出展が行われたりする大規模なビジネスイベントであり、一企業が行うビジネスセミナーに比べて、長い準備期間が必要となります。
少なくとも、セミナーの倍以上の準備期間を設けるべきです。
上記の特徴を踏まえて、まずはカンファレンスの半年前までに準備しておくべき3つの事柄を見てみましょう。
- 目標の設定
- 企画概要の決定
- 予算の検討
開催の半年前までにこの3点をしっかりと定めることで、カンファレンスの企画全体の土台ができあがります。
これらの準備なしにその他の工程にどれだけ労力をかけても、決してカンファレンスは成功しないと思ってください。
目標の設定
具体的な目標設定は、カンファレンス設計における土台となります。
おすすめなのは「SMARTの法則」を活用して目標を設定することです。
SMARTの法則とは、5つの要素から頭文字をとってつけられた、目標設定における法則です。1つ1つの文字は下記のような意味を持っています。
- S=Specific(具体的で)
- M=Measurable(数値化された)
- A=Achievable(達成可能な)
- R=Related(経営目標に関連した)
- T=Time-bound(期限がある)
【S・M=具体的、かつ数値化された目標】
- 集客数
- 新規リード獲得数
- ブース出展社へのリード提供数
- 商談化数
上記のように目標を数値化することで、達成するために必要な道筋が見えてきます。
【A・R=達成可能、かつ経営目標に関連した目標】
リード、及び顧客リストを把握し、それに基づいた達成可能な目標にすることも重要です。
【T=期限がある目標】
上記の目標を、スケジュールに従って準備していきます。
企画概要の決定
目標を設定したら、その目標を達成するための企画の概要を決定します。講演内容、出展ブース数、登壇者の選定など、参加者や協賛企業、ブース出展企業が惹きつけられる魅力的な企画を考えましょう。
予算の検討
目標や企画に基づいて予算を検討します。
達成したい目標があまりにも高く設定されていると、予算案が破綻してしまいます。実現可能な目標と予算のバランスを考えましょう。
半年前~前日までの業務(手段検討~具体化の段階)
6か月~5か月前(手段検討)【工程表の作成】
本番当日までの作業を洗い出し、「だれが、なにを、いつまでに行えばよいか」がわかる具体的な工程表を作成します。
スポンサーセールスの用意、会場の手配など、1つ1つの必要な準備に期限を設定すると、準備の進み具合が把握できます。「この作業は今遅れている」「この作業は進んでいる」と作業フローが可視化されることで、迷いなく準備を進めることができます。
【集客方法の策定】
スポンサーセールスの用意、協力会社や登壇者への交渉を始めるとともに、具体的な集客方法を検討します。
広告集客においては、「クリエイティブ戦略」と「メディア戦略」の2つの戦略を軸にするのが基本です。
- クリエイティブ戦略:カンファレンスのターゲットに伝わるメッセージ作り、広告物の作成
- メディア戦略:カンファレンスのターゲットに確実に届けるための媒体選定
優れた広告デザインと正確なメディア媒体選定を組み合わせることで、効率的な集客を実現できます。
【会場の用意】
カンファレンスにおいて、会場はとても重要です。ブース出展をするカンファレンスとなると、その規模は必然的に大きくなるため、イベント規模や趣旨に適した会場を選ばなければなりません。
事前に綿密な会場見学を行い、会場レイアウトと誘導計画を作成しておきましょう。
4か月前~2か月前(手段実行)【集客媒体の準備】
オンライン、オフラインそれぞれの集客媒体の準備を始めます。
- オンラインの集客媒体:広告、webサイト、ランディングページ、SNSなど
- オフラインの集客媒体:ポスター、パンフレット、招待状など
それぞれの制作物のデザインに統一感を持たせましょう。
【参加者申し込み受付体制の構築】
参加者がwebサイトから申し込みができるよう受付フォームを設置します。
予約管理システムや自動返信メールを活用するなど、システム化できる部分はすべてシステム化しておくと、主催者、参加者双方にとってスムーズで気持ちの良い受付体制を構築できます。
同時に、カンファレンス当日の受付方法も計画しておきましょう。
【問い合わせ窓口の設立】
専用の電話番号やメールアドレスを用意し、問い合わせを受け付ける運営事務局を構築します。
事前に想定できる質問へのQ&Aマニュアルを作成し、余裕を持って対応できるようにしておきましょう。
【アフターフォロー体制の構築】
このころから、カンファレンスで獲得した新規リスト、及び顧客へのアフターフォロー体制を整えはじめます。
具体的にはメルマガの構築やフォローメールの段取りなどが挙げられます。
カンファレンスの参加者をリード化するためには、アフターフォローによるアプローチが欠かせません。
2か月前~前日(具体化)【告知の開始】
本格的な告知を開始します。同時に問い合わせ窓口を開設し、参加者からの質問に対応します。
【当日運営の準備】
当日運営の準備には下記のような業務が挙げられます。
- 運営マニュアル作成
- 当日の進行表作成
- 司会進行の台本作成
- 備品リストの作成
- 運営スタッフの人員配置
- 飲食物の手配
- 資料印刷、製本
- 映像・音響・照明機材の手配
- ノベルティの作成
- ブース出展物の手配
当日運営の準備には多数の業務があり、混乱しがちです。事前に工程表を作成しておくことで、テンポよく準備を進められるでしょう。
【運営マニュアルの精査】
カンファレンスには複数の企業がかかわります。そのため、運営オペレーションに抜けや漏れがないか綿密なチェックし、シミュレーションを欠かさず行いましょう。
当日(運営の段階)
いよいよカンファレンス当日です。当日の運営業務には下記のようなものがあります。
- 受付対応
- 会場誘導
- ステージ進行
- スケジュール管理
- 映像・音響の管理・収録
- 写真撮影
- 緊急トラブル対応
- 飲食手配
- アンケート回収
これらの業務を運営マニュアルに基づいて落ち着いてこなしましょう。
カンファレンス後(フォローの段階)
カンファレンス後のフォローは極めて重要です。
- アンケート集計
- アンケート結果の共有(お客様の声の掲載)
- インサイドセールス
- メルマガ
上記のようなフォロー、及び販売促進活動を、スピード感を持って行いましょう。
特に、アポイントを希望する参加者に対しては、カンファレンスの熱が冷めないうちにアプローチしましょう。また、欠席者に対してもフォローしておくのが基本です。
カンファレンス開催のメリット
カンファレンスにはさまざまな効果が期待でき、開催企業に多くのメリットをもたらします。
カンファレンスは100人以上の参加者が集まる規模の大きなイベントです。そのため、カンファレンスを開催すれば、自社製品やサービスの認知を高められます。そして参加してくれた潜在顧客に対して効果的なアピールを行えます。つまり、カンファレンスには、製品・サービスの認知向上や見込み客の育成などの役割があるわけです。
また、既存顧客に対して、イベントを通じて新しい情報やコンテンツを提供することが可能です。対面でのコミュニケーションも行えるため、既存顧客との関係性向上や自社のロイヤリティを高めることができるでしょう。これは結果的に、リピート率の向上にもつながります。さらに、既存顧客がSNSなどを通して口コミを発信することで、新規顧客獲得につながる可能性もあるでしょう。
このように、カンファレンスにはさまざまなメリットがあります。
カンファレンス運営の成功ポイント
カンファレンスの運営を成功させるために、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 参加メリットを用意する
- 目標に対する結果から次回の改善案を考える
それぞれ解説していきます。
参加メリットを用意する
集客はカンファレンスを成功させるために最も重要なポイントです。多くの人を集めるために、参加するメリットを明確にしてアピールしましょう。
例えば、自社製品やサービスのクーポンコード、限定の講演資料などの特典やインセンティブは参加意欲を高めやすいものです。また、定期的にカンファレンスなどのイベントを行っているのであれば、参加ポイントなどを設けて、ポイントに応じた特典をプレゼントするなどの企画も、集客力を高めるのに効果的といえます。
目標に対する結果から次回の改善案を考える
カンファレンス後に成果を振り返り、次回の開催をより良いものにする改善案を考えるのも成功のポイントです。
カンファレンス終了後は、参加者にアンケートを必ず実施しましょう。アンケートにはイベントの感想や今後求めるものなどを盛り込んで、集計・分析します。その結果をもとにして、より多くの参加者が満足できるカンファレンスとなるようにブラッシュアップしていきましょう。
カンファレンスの運営代行を利用する際のポイント
カンファレンスを開催する場合、企画立案や事前準備、当日運営など多くの業務をこなさなければなりません。規模が大きくなるほど業務量は増加するため、運営代行の利用も検討したいところです。
カンファレンスの運営代行を利用する場合におさえておきたいポイントは次の2点です。
- 提案力
- 実績
それぞれ見ていきましょう。
提案力
カンファレンスは、自社にある「こんなカンファレンスにしたい」というおぼろげなイメージを具現化することからはじまります。自社にてカンファレンス開催についてのノウハウがない場合、それはかなり困難ではないでしょうか。
運営代行を利用する場合は、イメージの具現化という難しい課題に対応できる「提案力」があるところを選ぶのがおすすめです。
実績
運営代行に依頼するのであれば、実績があるところを選びましょう。
カンファレンスをはじめとしたイベントにはある程度の型があります。それに沿って企画していけば、それなりの形にはなることでしょう。しかし、他社との差別化や話題性を考えた場合、ありきたりのカンファレンスでは物足りないともいえます。
運営代行を利用するならば、カンファレンスはもちろん、各種イベントの運営実績があるところを選ぶのがおすすめです。幅広く数多くの実績があれば、さまざまなノウハウが蓄積されていますので、柔軟かつ面白いイベントを企画できる可能性が高まるためです。
まとめ
カンファレンスの準備には長い期間が必要ですが、最も大切なのは最初の「目標設定」です。明確な目標が設定されていなければ、その他の準備をどれだけ頑張ったとしても意味がありません。
しかし、実際にカンファレンスを開催するとなると、目に見える多数の業務に時間を取られてしまい、カンファレンスのコアを作り上げる時間がなくなってしまうという現実があります。
そのような状況を打破する手段として、カンファレンスの運営代行サービスを利用するのもおすすめです。運営業務を代行することで、カンファレンスの具体的な目標設定や魅力的な企画に注力できます。
株式会社ニューズベースはこれまで数々のセミナー・カンファレンス・シンポジウムの運営業務を代行してきた実績を持っていますので、お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。